“民衆の中にこそ藝術あれ”
これは、ドイツの詩人ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe)が残した言葉です。
童は見たり 野なかの薔薇…
日本でも、近藤朔風(こんどうさくふう)の訳詞でお馴染みの歌曲『野ばら』(Heidenröslein)。
一般的に認知されているのは、著名なシューベルト(Schubert, Franz Peter)とウェルナー(Werner,Heinrich)のものですが、実は文献上154曲存在すると言われています。
たった一つの詩ですが、その解釈は様々で、一つとして同じ楽曲はありません。
そこに『野ばら』の面白さがあるのです。
2016年3月現在、収集済みの『野ばら』は全9ヶ国語(アルメニア語/オランダ語/スウェーデン語/デンマーク語/ドイツ語/フランス語/ポーランド語/英語/日本語)が用いられています。
さらに、その作曲家が生きた年代も様々であり、ゲーテが生きた1770年代から現代に至るまで、幅広く長期に渡っています。
時代も国境も越え、普遍的に愛され続ける『野ばら』。
まさに、ゲーテが求めていた世界観そのものではないでしょうか?